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地域福祉ユニオンnews

 

 

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                                                 2015年3月10日 No2号

 

    2015年度自治労『地域保健・精神保健セミナー』参加報告

 

報告:NPO法人『つどい』 Yさん

 

2015年1月24日(土)~25日(日)にTOC有明 コンベンションホールにて開催されました2015年度自治労『地域保健・精神保健セミナー』に地域福祉ユニオン東京から組合員のYさんが参加しご報告を頂きました。

報告書全文を記載しますのでご覧ください。

 

【第1分科会】 

テーマ 医療から介護から地域保健から見た地域包括ケアの現在とこれから

講 師

コーディネーター 信州大学経済学部 井上 信宏氏

医療の立場から考える地域包括ケア

愛媛大学医学部付属病院総合診療サポートセンター長  櫃本 真聿氏

介護の立場から考える地域包括ケア

熊本県山都町健康福祉課長  門川 次子氏

地域保健の立場から考える地域包括ケア

島根県出雲保健所長  中川 昭生氏

 

午前中は各講師によるパネルを使ったそれぞれのテーマで講演、その後井上氏による午後のグループワークにつながる質問が門川氏には「どのような場面でこのような活動が始まったのか」中川氏には介護保険が導入された時保健所の活動が困難になった時期があったのではないか」櫃本氏には高齢化社会が大きくなるにつれて現状では保険制度、介護保険制度の崩壊につながる危惧があり医療面だけではなく多業種を含めての地域包括ケアに取り組む必要があるのでは」など、各氏、約10分間話をされ、井上氏は大学でも教育の立場から学生への様々なアプローチが必要になってきているのではないかと結ばれた。

午後は12のグループに分かれて各自午前中の講演を聞いて気になったキーワードを5個メモに書いて関心の多いものから順次グループでディスカッション、まとめたものをグループごとに発表した。

参加地域は東北から九州までと幅広い地域から 行政の立場、保健師、生活介護士、看護師などいろいろな職種の出席者が出席されていた。都市圏は近所の住人の顔が見えない関係が多い中、地方では地域に根付いた活動が顔が見えるだけに地域包括ケアに取り組みやすいのではと感じたが、逆に地方の市町村サイドからは都市圏は福祉施設や制度の充実を感じられるとの声も聞かれた。また、行政サイドと受け皿である地域とのギャップの大きさを感じるというのが私達のグループのまとめになった。午後は、どのグループのグループワークもこれから何を目標にどのような視点で活動をしていけば地域包括ケアが良い方向にもっていけるのかを真剣に議論をしてそれぞれ時にはユーモアを入れながら熱い思いを発表されていた。

 

医療を生活資源に”

           ~生活を途切れさせない医療を目指して~      櫃本 真聿氏

 

域包括ケアシステムケアを必要とする背景には

 

・人口問題 ・・・少子高齢化の進行 人口遷移

          寿命が延伸する中での健康寿命の短縮化

・経済問題 ・・・急増する医療・介護費 財政破綻問題

        在宅医療推進だけでは限界

・健康の再定義・・健康定義(WHO)の見直し 2つのトラック

 QOL(自分らしく生き)・QOD(自分らしく死ぬ)

・公助の縮小化・・依存から自立へ 自助・互助・共助の賦活化などあり国民皆保険制度他 現行システムを堅持できるのかが問題となる

 

地域包括ケアシステムとは

・超高齢化社会 2025年得緒目途に 医療と生活・介護の一体化

・5つの要素  「介護」「医療」「予防」「住まい」「生活支援」の一元化

・住民の“心構え(覚悟)”「自分らしい生き方・死に方」が基盤に

・地域特性の重視

 “医療を生活資源”とした「地域づくり」が根底に

・診断・治療重視から 生活支援重視へ

 QOL QODを重視した医療・介護他 地域支援体制の再構築

・地域資源が総動員 共通のベクトルに乗って 地域づくりに参画

連帯ではなく 統合を目指して

 この考え方を基盤に これからの医療施策が行われる

 

健康とは? 予防や疾病管理が健康の証ではなく個人が幸福 健康と感じることが大切であり

医療者等がレッテルを張るものではない

健康はゴールではなく手段である

 

現行制度は医療・介護に依存し寝たきり高齢者を増やし高齢者の自立性を減退させている。つまり自分らしさを見失い社会的弱者のなってしまっているが、要支援・要介護状態・慢性疾患の人たちを自分らしい生き方ができるように支援することで病気になっても(知識・経験・企画・相談・子育て支援などなど)その人のstrong pointを生かした生き方ができるのではないか、 問題はその環境づくりにある。

そのために地域コミュニティー主体の地域づくりが重要となる。

高齢者は貴重な社会資源になりえる?

 

地域コミュニティー主体の地域づくりは

 

・元気高齢者を地域で育成し支援 働く場づくり

・地域資源を総動員するための協議や実践の場づくり

・新しい健康観に基づいた支援体制の構築

・医療・介護が一体化して 生活資源として元気高齢者の生活QOLの向上を支援

・医療・介護システムは公助ではなく共助であることを認識して、核依存への軽減を図る

・かかりつけネットワークの重視 マネジメント機能強化

 総合診療医に期待 地域包括ケアシステムのリーダーに

 

 

医療崩壊の主因は

 

医療依存度を下げないまま 医療費抑制制度が進行したこと

  医療費を挙げているのは“医療の進歩”で早期発見・治療で医療費を下げることの限界があり

  医療費を下げることは困難である

また医療費抑制のために在院日数の短縮化 医療機能の分化 在宅医療への推進 つまり急性期病院から追い出される・追い出すムードが患者・医療者両者にとって受け入れがたい状況をまねきお互いの信頼関係の低下させた

 依存と不信の連鎖 → 医療崩壊 → 医療への依存度を下げることで医療費の有効活用を図る

 つまり医療への依存から医療の活用へ変えていく

医療の目的が診断・治療が中心だったものを地域生活に戻すための医療にその目的を変えて、入院は退院の準備と位置づけ医療(急性期医療・入院医療)により生活が分断されることの無いように入院前からの退院支援を。何故なら、入院前(もしくは入院直後)は生活に戻るイメージが一番強い時だからである。つまり、入院前から退院というゴールを目指す意識が重要なのである。また入院中は病棟看護師が生活に戻すための生活に軸足を置いた医療の担い手として重要な役割を果たすことが大切。

医療と介護が分離している医療から生活の場での医療と介護の一体化をめざし“ときどき医療”“ときどき介護”で地域生活の中で社会貢献できる住民に、そのために地域におけるお互いの信頼関係の構築、役割分担を確立して行くことが重要。また、在宅医療は診療所の外来診療の延長線上にあり看取りのための在宅医療ではないとの意識改革を、すなわち医療も介護も生活の場で提供されることが原則、また、地域が地域の目的を明確にして地域や住民の本来持つ力を賦活化させ地域の資源の有効活用を図る。

(人々が持つ信頼関係や人間関係、社会的ネットワークなどの人的資源)

 

間もなくやってくる超高齢化社会(50歳維持用人口が半数を超える)に対し従来の医療の形から患者の人生を支える医療やケアへの変換が求められる。

 

愛媛大学医学部付属病院では2002年より医療福祉支援センターを設置、通院支援のための相談体制・地域連帯機能の向上させ“生活に戻すためのチーム医療”の実践を行っている。

 

介護の立場から考える地域包括ケア―

門川 次子氏

山都町は20年前に20年後はどんな町になればいいと思うかと若い世代に問いかけたところ、健康でいつまでも自分らしく安心して住み続けられる町になればいいとの答えが帰ってきた。そこでどうすればそんな町づくりができるのか みんなで試行錯誤しながらひとつひとつ、小さなことから取くみ現在の地域支えあい体制が出来上がった。2010年総人口16981人に対し65歳以上の人口が64%なのが2030年には 92%を超えると予想されている山都町では地域包括ケア―システムの実現と、介護保険制度の持続可能性の確保に向けて自立した生活を家族及び問題など地域全体で支えられる町、高齢者が住み慣れた地域で生きがいを持ち、生き生きとした健康な生活を送り続けられる町を目指して次の

 

 

 

地域支えあいの体制は

医療、行政機関、学校、企業、公共機関、町地域支援センター、商店コンビニ、地区社協、

地域住民の老人会、公民館、NPOなどその地域が事業所になりみんなで支えあう体制を!!

 

5つの基本目標を立てている

 

  • 生きがいづくりの視点

 高齢者が生きがいを持ち、地域を支えられる町づくり

  • 予防の視点

 高齢者の元気をつなぐ街づくり

  • 介護保険制度にとって求めていきたい地域包括ケア―システムとその構築に必要なものとは?

 ・理念的目標が明白で、関係者で共有されること

 ・理念的目標を達成する具体的目標と指標があること

 ・住民の主体的参加があること←相互に学びあう

 ・多様な(関係機関、他部門)連帯・協働があること←それぞれの役割

 ・重層的な話し合いの場があること

 ・町外からの専門機関からの支援があること

 ・活動の調整役(コーディネーター)がいること

 ・高齢者の自立した生活を支える基盤づくり

 

  • 介護の視点

 介護保険の円滑な運営

 

  • 地域包括ケア―の視点

・地域包括センターの機能強化

・切れ目のない医療と介護のサービス体制づくり

・良質な高齢者向け住まいの確保

・高齢者の虐待防止

・地域全体で高齢者を支える仕組みづくり

 

 

高齢化に対し地域で支えあうことは地域の豊かさ、暮らしの豊かさにつながっていくので昔のような近所づきあいが難しくなっているのでご近所ネットワークや専門者ネットワークをそれぞれのできることを地域全体で支えあういつまでも暮らしやすい山都町を目指している

  

 20年後も自分らしく安心して住み続けられる山都町

     健康は人づくりから 

     自助・公助・共助・そして近助で安電・安心は暮らしを

 

地域包括ケアシステムと健康なまちづくり

  中川 昭雄氏

 

健康寿命日本一を目指して取り組んでいる出雲保健所は健康づくり、生きがい活動、介護予防活動を通して様々な活動をしている。

高齢者が、地域で健康に人間らしく生活するためには医療・介護体制の整備と共に地域ぐるみでの ①健康づくり・介護予防 ②生きがいづくり ③生活支援の取り組みが大切

 

介護予防は地域ぐるみの健康づくりの一環

 

・日頃の地域や職場での健康づくりの取り組みは介護予防につながっている

・脳卒中予防は最も大切な介護予防

・人との交流、生きがいや楽しみを感じられる場づくりなどは介護予防に効果的

・足腰を上部にしたり、骨折を予防するための運動(ロコモ予防)、食事も大切

・認知症にならないように、また少々認知症になっても生活できる地域に

→住民力が必要  地域のきずな、つながりは 健康な町づくりにとって大切な要素

 

 

健康な町づくりとしての地域包括ケア

  ・介護保険サービスの提供は → 保険者の指導下でケアマネ、介護支援業者

  ・在宅医療と介護の連携体制の調整、推進は 

→ 保健所支援のもとに市町村(医療、介護担当)

  (個別ケースは、地域包括支援センターと医療介護連携支援センター)

 ・介護予防や生活支援への地域住民参加は → 地域組織が健康づくりの一環として展開

                      (地域福祉活動との連携、地区担当保健師支援)

・住まいへの対応は、市町村都市計画部署と連携

 保健所の助言として  全体の把握、調整を地域包括担当の市町村保健師に期待したい

 

 

地域包括ケア推進における保健所の役割

・在宅医療の推進 

- 医師会、医療機関の協力調整(後方支援病院を含めて)

・医療・介護の連携体制(システム)

― ケアマネ・介護支援員等とかかりつけ医の連携調整

 ― 緊急時医療提供体制(広域調整含めて)

・急性期からの流れ(地域医療連体制)

― 医療機能分化連携、地域連携パス

・人材育成 

― ヘルパー、ケアマネ、訪問看護師 等々への研修

・地域診断、健康な町づくりの視点

 

地域包括ケア推進における保健所保健師の強みは

 

・各専門職の配置、職能団体とのつながり

・維持・薬事関連業務を掌握

・様々な業務で保健・医療・介護・福祉の連携を経験している

 ― 難病、精神、長期療養児など

 ― 糖尿病、脳卒中、がん等の地域連携システム(連携パスを含めて)

・患者・家族会、ボランティア等の育成・支援を行ってきている

・地区診断、地域把握のノウハウがある

 

健康な町づくりとして地域包括ケアの展開を!

  • サービス提供だけではなく、活動としての視点

  • 地域診断を踏まえた健康な町づくりの視点

  • 地区(住民)主体の活動 育成 支援 の視点

  • 関係機関、団体、施設等の連携・調整

  • 保健・医療・介護の多職種ネットワーク形成

  • 予防・治療・リハビリの一貫化の視点

 

健康な町づくりに保健師・保健所の役割を発揮!

 

以上、報告をいただきました。今後も組合員各位の活動状況についてもニュースにてご報告していきたいと思います。

 

 

地域福祉ユニオン東京

      

               Community  Welfare  Union  Tokyo

Jichiro Tokyo

〜 地域福祉の充実と安心して暮らせる社会をめざします 〜

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