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厚生労働省2016年度政府予算要請(メモ)

厚労省 今別府政策統括官(社会保障担当)

自治労 荒金副委員長、石上総合政治政策局長、榎本社会保障局長、西村社会福祉局長、伊藤(邦)衛生医療局長、高松書記

冒頭、荒金副中央執行委員長から要請書を手渡し、榎本局長から要請内容について説明をした後、今別府政策統括官より以下の回答を受けた。

〇6月30日に閣議決定した「経済財政運営の基本方針2015(骨太方針)」では、高齢化に伴う社会保障費の伸びを、2018年度までの3年間で約1.5兆円の伸びに抑える「目安」として示している。根拠として、この3年間の1.5兆円社会保障費の伸びが高齢化の伸びと一致しているため、今後も同基準で抑制することとしているが、これまで様々な制度改正により社会保障費削減の努力を行っており、このまま同水準で社会保障費の伸びが押さえられるかは不明である。

 また、消費税10%への増税や賃金・物価上昇などの影響については検討されておらず、経済動向を踏まえて今後判断することになっている。

 診療報酬改定については、過去マイナス改定を続けても、新しいルールブック変更にあわせて最終的な実績はプラスとなってきたが、この2回の診療報酬は実質的にも実績がプラスとなっていない。しかし、その理由が情勢変化か制度の問題なのかはか明確になっていないため2016年改定の際もどのような結論になるかはわからない。

 社会保障財源については、「骨太方針」で何かが決まるものではなく、毎年の秋から冬の予算編成過程で物事は決まる。

 どちらにしても、消費税が予定通り10%にならないことには、社会保障の充実はない。社会保障費削減努力によって財政が安定し「来年夏の増税が不要」とならないよう社会保障費のすべてを抑え込むとはならないと予想される。

 来年に参議院選挙を控えている政治情勢を踏まえると、負担増が目立つような厳しい動きはないと予想される。

 今国会でも社会保障に関わる法律の改正が多く行われたが、施行後が一番重要であり、国保改正、介護保険とも今後の動きが重要になる。

自治体でしか実施されておらず、実質的な自立に結びついていない。財源確保の問題は理解しているが、今後の課題として必要な予算確保が十分はかられるよう検討していただきたい。

保育・介護とも公定価格で価格が決められているため、物価動向も反映した介護報酬等の見直しを行っていただきたい。

○物価動向の反映については現時点では何も決まっておらず、今後の話となる。消保育の財源確保については「骨太方針」で具体的な金額は示していないものの「安定的な財源を確保して実施する追加的な歳出増加要因(子ども子育て・家族支援等)については別途考慮する」と示されている。

 医療の分野については、地域ごとの将来の必要病床数は、ビッグデータを使って計算できるようになった。病床機能の変更については、急な転換を求めるものではなく今後2025年に向け10年の期間をかけて誘導を行うものであるが、法的規制のない誘導・助言の中でどこまで実現できるのかが課題である。

 「保健医療2035」で示したように20年の時間をかけて、現場の状況を踏まえ制度の体質改善を行いながら進めていきたい。

 今後は、病床機能報告に限らず薬の副作用など、病院から実際のデータをとる等少しでも早く状況把握を行い「データ化」による全体の調整を行うこととなる。

 医療の情報の取り扱いについては、十分な注意が必要であり自治体を含めて今後のデータ活用については慎重に進めていかなければならない。

追加要請

【社会福祉関係】

<西村局長>

「子ども・子育て支援新制度」に必要な1.1兆円の財源のうち確保されている0.7兆円により3歳児の配置基準改善の予算措置がされたが、このことについては、組織内のあいはらくみこ参議院議員の国会質問により交付税措置されていることを明確にし、現場で改善を行うように自治労内でも周知している。国は、今回の改善を最低基準(15:1)の改正ではなく加算とした理由について保育士不足としているが、配置基準の改善が保育士確保につながることから、国として、関係会議等で地方自治体に改善内容を反映するため、引き続き助言等を行っていただきたい。あわせて、残りの0.4兆円財源について保育担当局と話をしたところ確保は厳しいと聞いているが、ぜひ確保していただきたい。保育士不足の背景として労働条件の厳しさが大きな原因となっている。人材確保のための保育士の処遇改善についても国として取り組んでいただきたい。

また、生活困窮者自立支援ついては、相談は必須事業として生活困窮から脱却させていくプロセスとなっているが、相談の後の学習・就労支援等の具体的対応が任意事業ということで半数の費税が上がったときは反映される可能性があるが、毎年変動する物価は反映されない。3年ごとに介護報酬改定を行うときに物価動向をどう考えるかが重要。医療・介護双方とも、人口減少社会の中でどのように人材確保を行うかが課題である。

 それぞれの地域ごとにあわせた自治体ごとの工夫が必要であり、国は財源を含めたそのバックアップを行う。

 子ども・子育て支援新制度と生活困窮者自立支援は去年・今年の社会保障予算の中でも主題であるため全体の調整を行ったうえで優先的に議論を行いたい。

【衛生医療関係】

<伊藤(邦)局長>

 医療勤務環境改善支援センターはほぼ全国で設置されたが、各事業所内での院内マネジメントシステム設置が労働組合としての重要な課題であり指導等お力添えいただきたい。

 2016年度診療報酬については、プラス改定は難しいと想定される。しかし、現場として、消費税増税分の還元分が不足しており500床の病院で負担増が年間5000万~1億5000万円の間で推移しており非常に厳しい状況になっている。

 この間、公立病院は経営努力を重ね民間病院よりも低い人件費比率と変わってきたが、経費削減によっても消費増税の影響により経営が悪化するおそれがあるため少しでも負担が軽減されるよう消費税10%の際の還元へ対応を考慮していただきたい。

 また、看護職員確保対策については地域医療支援センター、ハローワーク、ナースセンター等の取り組みをリンクさせ潜在看護師70万人をどう現場に復帰できるようにするか、勤務環境を改善するなど離職をさせない手法を作るかが課題であり、自治労も協力して取り組んでいきたい。

○年度診療報酬改定について、厚生労働省としては、当然プラス改定という姿勢で臨む。また、与党内でも来年の参議院議員選挙をにらみプラス改定に対して意識されている。

 次期診療報酬改定では、調剤が削減対象と予想され、「プラス改定」になったとしても薬価差益分が入ったプラスか、それ以外がプラス改定かは現時点ではわからない。

 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で示されているように、社会保障も長期的視点で再編される。

 地域医療構想内の病院編成についても、ただちに行われるものではなく病院施設それぞれの建て替え更新時期にあわせて行っていくものである。

 人口減少が即人材不足につながってしまうため、社会保障を支える人材確保のこの課題とどう折り合っていくかということが社会保障全体の重要な課題である。

 また、外国人看護師、介護士だけではなく、一部特区で実施される家事支援についても検討されているが、国内の潜在的な労働力を活用できる仕組みづくりを行っていきたい。

最後に、榎本社会保障局長から社会保障を支えていくには人材確保が最重要課題であることを共有し、要請を終えた。

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